17/03/2022

2022.3.17 #日々の聖句 #ローズンゲン 聖書のことば

くじによって選ばれた本日の旧約聖書のことば
申命記8章2節
あなたの神、主がこの四十年の間、荒れ野であなたを導いた、すべての道のりを思い起こしなさい。主はあなたを苦しめ、試み、あなたの心にあるもの、すなわちその戒めを守るかどうかを知ろうとされた。
 
旧約聖書に応じて選ばれた本日の新約聖書のことば
マタイによる福音書11章29節
イエスは言われます:私は柔和で心のへりくだった者だから、私の軛を負い、私に学びなさい。そうすれば、あなたがたの魂に安らぎが得られる。
『聖書 聖書協会共同訳』より引用・利用
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今日の旧約聖書の言葉は、エジプトを脱出して、約束の地にいたるまでイスラエルの地を40年間さまよい歩いた民たちの指導者・モーセによって語られた回想の一文です。
 
この文章のなかで「主はあなたを苦しめ」という言葉がありますが、日々の聖句・ローズンゲンの原著であるドイツ語聖書(ルター訳聖書2017年版)では、「主はあなたをへりくだらせ」と訳すことのできる言葉が記されていました。
 
人生の苦難は人を謙遜にさせる。私は、この言葉に疑問符を持たされました。人間は苦しみを経験すると、本当に謙遜になれるのだろうか。むしろ逆なのではないだろうか。そう思ったのです。なぜなら、人生の苦難は人を意固地にさせ、あらゆることに頑なな心を抱かせる力があると思っているからです。
 
だから、私はこの言葉に黙想を深めたいと思いました。もし、苦しみが人を頑なにさせるのであれば、その根拠とは何なのだろうかと。苦しみは人間に恐怖心や不安を与え、そんな恐れが人の心に壁をつくり、苦しみに蓋をして自分のうちに閉じ込めてしまうのだと。そう考えました。
 
もし、わが心にそのような壁をつくったとしたら、その壁を壊さない限り、壁の向こう側に進むことは、それこそ苦行となるのでしょう。モーセを指導者とするイスラエルの民たちは、おそらく40年ものあいだ、自分のうちにある苦しみの壁にぶち当たっては、もがき続けていたのだと想像するのです。
 
モーセは、苦難の40年の道のりを通して、お前たちは私とともに歩むのかと問い続ける神の問い尋ねを、何度も何度も聞いてきたに違いありません。そのたびごとに、自分自身との闘いがあった。そして今、その40年間を回想する時に、神とともに歩むことこそ、人生における最善の道であることを告白します。
 
ここにこそ、謙遜の思いがあふれていると私は思いました。自分が経験している苦しみというものを知るまでは、本当にもがき続ける。暗闇のなかを探り続ける。どうしてよいのか分からない。しかし、40年間を間違いなく導いた神が、私も同様に最善の道へと導いてくださるのだと。そのことに気づき、自分のプライドを捨てたときに、謙遜の喜びがあるのだと。
 
イエスは言いました。私からへりくだることを学びなさいと。命という最も大切なものを捨ててまで、私たちの命を守り抜いてくださったイエス。しかし、十字架で苦しむイエスには、明らかに人を救おうとする柔和さがともなっていた。だから、私たちは苦しみのなかにも、神が安らぎを与えてくださることに、期待して生きることができるのだと。
 
苦しみは謙遜を生み、謙遜は安らぎを生む。この安らぎを胸にして、今日一日を生きていきたいと思います。皆さんの一日にも、神による安らぎが豊かにありますように。お祈りいたします。

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